<地域性に合った家とは>


住宅は建ててすぐに結果がでるものとはちがいます。
この地区だけで考えているとなかなか分かりずらいのですが、
ちょっと範囲を広げて地球規模で考えてみてください。
 中近東赤道直下のところは、ジリジリと照りつける陽射しを遮る
ことが優先されます。雨が降らないところは屋根は平らでもかまわないのです。
 北極に近いところでは分厚い氷で家をつくります。外気温から
身を守ることが生きることです。
 東南アジアの雨が多いところでは風通しを良くして高床式
で水から家財や身を守ります。

 このように住宅には地域性があり、東南アジアや中近東の
家を寒いところに持っていっても役にたたないのです。
 逆でもおなじことが言えるのです。

 しかし日本の気候は中間のあいまいな位置にいるため、北米や
北欧の住宅がたくさん輸入されたり工法をまねたりして
家が建てられています。
 問題なのはこれらの住宅が培われた土地柄、気候環境が
違うことです。

<気候環境は無視できない>
 北米西海岸から輸入されてくるものにツ-バイフォ-住宅
があります。
 これは壁面で重量を支える方式なのでこれを面工法といいます。
欠点は開口面積を大きくとれないこと。空気の流通があまリ
良くないことです。
このことは一週間や二週間では結果はでません。
問題は湿気があって気温が高い時期が6〜8月ごろ毎年繰り返されることです。
腐朽菌が活躍できるのは温度・水分・栄養源が揃うことです。

皆さんは洗濯物を干すとき雨でも風さえあれば外のほうが早く乾くのは
ご存知ですよね。
木造住宅もこれと同じことなのです。

屋久島の年間平均湿度は70%を超えます。
一方、東京・千葉などは45%位です。
数字からいえば屋久島のほうがカビて当然だと思いますが
密集していて風通しの悪い関東地区のほうが圧倒的にカビているのです。
考えにくいことですが逆なのがおもしろいところです。

このツーバイフォー工法は合板を使うため気密性を保つためには
すぐれています。
つまり暖かい空気を逃がさないという点では少し好都合な工法です。
密閉した箱を作るには都合が良い工法なのですが
開口面を大きくとって風通しをよくするには不向きなのです。
 木造住宅でも開口面の取り過ぎは良いことではありません。なぜならば
今の木造建築というのは昔の方式とは組み方が違うからです。
 風通しが悪いというのはカビの発生しやすい日本では何年かしたら
大きな差になってきます。
でもすぐに結果が出るわけではないので売るほうでも黙っています。

<建て主さんの大きな誤解@>
良い大工さんは良い技術を持っています。
設計士さんはよいセンスを持っています。
しかしこの人たち」が良い家を造れるわけではないのです。
それは建て主さん一人ひとりの生活感が違うからです。
個々のライフスタイルをうまく引き出すのがプロなのですが、
建て主さんの方も自分たちの思いを上手に伝えていかなければ、
いいセンスといい技術力は生かされないのです。
良い業者だから良い家を建ててくれるはずだと思うのは間違いです。



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